鳥取から全国へ、二代目が挑むこれからの“とうふ屋”

2021/11/24
by 田草 健太郎
 
 

平尾とうふ店 平尾隆久さん

祖父母から引き継いだ、
昔ながらのまちの“とうふ屋”。

鳥取市河原町。悠々とたゆたう千代川と山々の間に、田畑と民家が点在し、里山らしい風景が広がるまちです。まだ夜明け前の早朝、ふくよかな香りを包んだ湯気を漂わせるのは、「平尾とうふ」。現在2代目として代表を務める平尾隆久さんは、34歳の若手店主です。

車の整備士として勤めた会社を脱サラし、実家の平尾とうふを継いだのは今から10年前、24歳の頃。当時、高齢の祖父母が全て手作業で営んでいた平尾とうふは、祖母の骨折をきっかけにほとんど休業状態になり、廃業目前だったと言います。「(会社勤めを辞めて)自分で事業をやってみたい」という平尾さん自身の思いと、家業の廃業の危機、二つのタイミングが重なり、周りの反対を押し切って二代目を継ぎました。

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大豆の甘みと旨みを最大限に引き出す、
熟練の感覚と技がつくる味。

豆腐はシンプルであるからこそ、安定して同じ味に仕上げることが難しい食材です。日々変わる気候や湿度に合わせて配合や作り方を調整することはもちろん、豆自体も産地やその年の出来具合によって、固まり方や甘さ、味の深みも異なります。平尾とうふでは、複数の産地から厳選した大豆をブレンドし、さらに季節によってもその比率を調整し、「平尾とうふの味」をつくり続けています。
そんな平尾とうふの味を象徴するのが、2019年の全国豆腐品評会中四国地区において金賞を受賞した「絹とうふ」。大豆をたっぷりと使用し、時間をかけてぐつぐつとゆっくり煮ることで、大豆そのものの甘みと旨みを引き出しています。濃厚でなめらか、口の中で溶けるような喉ごしの良さが特徴です。
さらに、職人の技が光るのが「おぼろとうふ」。大豆の甘みを最大限に引き出すため、固まるぎりぎりのところを見極め、手早くすくい上げる感覚と技が必要とされます。醤油はもちろん、塩や、何もつけずに食べる常連さんもいらっしゃる、とうふ好きにこそ味わってもらいたい逸品です。そのほかにも定番の木綿とうふや、外はカリッと中はふっくらやわらかな油揚げなど、素材の味を活かした平尾ならではの商品があります。

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厳選しブレンドした大豆とにがり、
そして“天然地下水”でつくる。

大豆とにがり、たった二つの材料で作るとうふに、もう一つ欠かせないのが「水」です。シンプルな素材で作るからこそ、使う水の良さが、仕上がりの味に大きく影響します。同じとうふでも、材料や作り方によってそれぞれの店の個性が出ますが、その地域の水の美味しさというのも、その店らしいとうふの味を決めているのです。平尾とうふがある河原町は、鳥取市の中心部から車で20分ほど離れた場所にある、里山の風景が美しいまちです。平尾とうふでは、自然豊かな河原町の地下で、ゆっくり長い年月をかけて育まれた天然地下水を使用しています。ミネラルも豊富な清らかな水をたっぷりと使い、職人が仕上げるとうふは、この地域、平尾とうふだからこそ作れる味です。

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鳥取のいいものを、全国に届ける。

「自信を持って“ 美味しい”と思えるとうふを、全国のお客さんに味わい喜んでもらいたい」と話す平尾さん。そのために、祖父母から学んだ手作りの良さも大切にしながら、一方で設備や環境を整えるべき部分も見極め、機械の導入やスタッフの増員などにも取り組んできました。二代目・平尾さんならではの「平尾とうふ」として試行錯誤してきた10年間、平尾さんは「あっという間だった」と振り返ります。祖父母から受け継いだ昔ながらのまちのとうふ屋は、今では店先に設けた直売所に常連のご近所さんから、平尾の味を求めて遠方から訪れる人まで、次々とお客さんがやって来るようになりました。最近では、定期的に購入してくれる大阪在住の方が、わざわざ鳥取まで訪ねてくださるなど、とうふが結ぶご縁も広がっています。 厳選した素材と、地域が育む天然水、そして熟練の職人が作る「平尾とうふ」。パッケージに書かれた「鳥取代表」の一言には、鳥取の良いものを全国に届けたい、という想いが込められています。

image6.jpegimage7.jpeg平尾とうふ店 の商品はこちら

お店情報

店舗名 平尾とうふ店
住所 〒680-1243 鳥取県鳥取市河原町佐貫1206
営業時間 09:00~18:00
定休日 日曜・月曜(都合により急遽定休する場合もございます。)