世代を超えて受け継ぐ、鳥取の味“とまりのらっきょう”

2021/11/24
by 田草 健太郎
 
 

泊綜合食品株式会社(岸田隆志さん・岸田いずみさん)

鳥取ならではの名産品を、鳥取から全国へ

鳥取を代表する景勝地、鳥取砂丘。日本海に面した広大な砂地は、広さだけでなく起伏(高低差)も大きく、迫力のある自然の美しさを感じることができます。独特の地形や、厳しい環境下に生息する希少な植物の分布も評価され、1955(昭和30)年には国の天然記念物にも指定されました。美しい風景を求めて観光客も多く訪れる鳥取砂丘の名産品として知られるのが「砂丘らっきょう」です。

昭和49年に漬物問屋として創業した泊(とまり) 綜合食品株式会社は、砂丘らっきょうの加工品を製造・ 販売する食品会社です。問屋として全国の漬物を取り扱う中で、「自分たちの“ 鳥取”の漬物も売りたい 」という思いから目をつけたのが、当時まだ加工品としてはあまり流通していなかった“らっきょう”でした。らっきょうは、他の農作物が育ちにくい砂地でも育つ、生命力の強さが特徴です。鳥取砂丘周辺では、砂地ならではの環境を生かして、江戸時代かららっきょうの栽培が始まりました。今では全国屈指の広さを誇り、鳥取県はらっきょうの生産量全国一位です。鳥取ならではの農作物であるらっきょうを、漬物に加工することで鳥取県外の人にも味わっていただきたい。そんな思いから生まれたのが、泊総合食品がつくる「砂丘らっきょう」です。

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厳しい暑さと寒さ、
過酷な環境を生き抜くからこそ美味しくなる

水はけがよく柔らかい、きめ細かな砂丘の砂は、らっきょうの生育に適しています。7月頃から8月上旬に、夏の厳しい暑さの中一つ一つ手作業で植え付けられるらっきょう。真夏にもなる地表面の温度は60度になることもあり、人間でも火傷するような暑さに耐え芽を伸ばします。10月下旬~11月にかけて紫色の花を咲かせた後、迎えるのは日本海の厳しい寒さ。気温は氷点下になり、砂丘も一面を雪に覆われます。海から吹き付ける風雪を耐え抜くらっきょうは、冬の寒さが厳しいほど色白で固く引き締まって育ちます。透明感のある白さとぷっくりとした丸みが美しい砂丘らっきょうは「鳥取砂丘の宝石」とも称され、シャリッとした歯ざわりが自慢です。

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今では鳥取県内でも様々な企業が砂丘らっきょうの加工品を製造・販売していますが、泊総合食品のこだわりは「らっきょうそのものの味」を活かすことです。味付けを甘くしすぎず、らっきょうらしい香りと辛みを活かし、さっぱりとした味に仕上げています。鳥取県産らっきょうを100 % 原料とし、合成保存料や漂白剤は一切使用していません。 また定番の甘酢漬けに限らず、様々な味のらっきょうがあるのも“とまりのらっきょう”の魅力です。例えば、地元の中学生と共に開発した“カラフルらっきょう”。色白ならっきょうを、鮮やかな色合いの自然素材に漬け込み、子ども達も安心して食べられる見た目にも楽しいらっきょうです。小さい会社だからこそ、小ロットで新しい味に挑戦できるのも強み。数ある失敗の中からも、ワイン味やはちみつレモン味といった変わり種が商品化され、甘酢味だけではないらっきょうの可能性を広げています。

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小さな一粒に魅力もたっぷり、
生命力溢れる“砂丘らっきょう”

鳥取砂丘の名産品として、生産・販売されてきた砂丘らっきょうですが、美味しさとは別の点でも注目されるようになりました。
らっきょうは生薬としても用いられ、生薬名は「薤白(がいはく)」と呼ばれます。 らっきょうの栄養素であるビタミンCやカリウムは水に溶けやすい性質を持っていますので、調味液も一緒に摂取するとより効果的に栄養素を取り入れることが出来ます。 また、らっきょうが含む水溶性の食物繊維は人が消化吸収しにくい栄養素なので、意識して補いたい栄養素です。 砂丘らっきょう(品種:らくだ種)は厳しければ厳しいほど、白く引き締まったらっきょうになります。厳しい環境下を生き抜く、生命力にあふれた新鮮でおいしい漬物を皆様の食卓へお届けしています。

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砂丘が生み出す鳥取ならではの名産品「砂丘らっきょう」を、こだわりとプライドを持って生産・加工し、全国に届けている泊総合食品。現在は岸田隆志社長に加え、ご息女の岸田いずみさんも役員に加わり、歴史を守りながら新たな商品作りにも取り組んでいます。色も味もバラエティ豊かな“とまりのらっきょう”。ご家庭の食卓で、また鳥取の名産品として贈り物にも楽しんでいただきたい逸品です。

image6.jpeg泊綜合食品 の商品はこちら

お店情報

店舗名 泊綜合食品株式会社
住所 〒680-0913 鳥取県鳥取市安長85
営業時間 09:00~17:00
定休日 土曜・日曜・祝祭日